今なお続く、というよりも、この後全10巻に渡って書かれるというR/VOLUTIONシリーズの第1弾となる小説です。
主人公は相良亮司(原田亮司か?)。中国からの密入国者をさらに別の国(主にアメリカ)に送り出すという密航組織で働いている。彼らの組織は主に空路での密航を手がけているので、亮司はそれがスムーズに行われるように、偽のパスポート作りを担当しているのである。
そんな彼の勤めている組織の1部門―学校と呼ばれているところ―がある日、何者たちかに襲われ、多くの死傷者を出した。誰が、一体、何のために?
亮司はちょっとした手がかりから、関係者に接触していくうちに、知らず知らずこの事件の真相に近づいていく。そして、つかんだ真相は…。

ぐいぐいと物語の世界に引き込まれます。そして亮司にどんどん惹かれていきます(^。^)。
亮司はあえて社会の裏街道を歩いているのですが、アンリ・ルソーの画集を宝物にし、幼い頃は絵を描いて生活していきたいと夢見ていた、そんな青年。
彼は断ち切りたくて仕方がない鎖を持っています。彼は鎖につながれた犬のようなもので、いくらその鎖を断ち切って逃げても、すぐに見つけて連れ戻す飼い主がいた―そんな風な思いをずっと抱いて生きていました。だから、自由に放し飼い状態(ずいぶんな言い方だな、しかし)になっている今でさえ、『帰ってくる場所はここだよ』と手を広げて待っている場所があるということに、耐え難い息苦しさを感じています。そして、その息苦しさから逃れるには、飼い主そのものの存在を消すしかないとまで思っています。彼があえて裏街道を歩いているのは、この鎖の存在のため。

今まで読んできた五條作品全てそうなんですが、タイトルのつけ方がうますぎる。というより、このタイトルにこめられた意味というのが、作品のテーマそのものになっています。
鎖を断ち切らざるを得なかったものの慟哭。前にあるものが決して幸せではないものの、前しか見つめて生きられないものの痛ましさ。この小説の中でもさまざまなハードな人生が描かれていますが、彼らはそれでも決して負けない強さをもっています。
だから、亮司はこの事件の渦中で出会った人々から、本当に鎖を断ち切るには飼い主の存在を消すというような、そんな方法ではダメなのだということを知ることになります。
最後の章はホント涙ボロボロものです。

そして、サーシャ!このサーシャがまた、ここに出てくるどの人物よりも強烈な印象を残してくれます。やっぱりサーシャが好きです、私(^。^)
亮司にある人物の密航の手助けを頼んでくるのですが、ファースト・コネクションからして絶叫ものでした。作者がとある雑誌のインタビューで「友人に『私のサーシャ様は○○の芋ようかんは食べないわ!』と言われて…作者の私を差し置いて、彼はいつから食べないことになったんでしょうね?(笑)」と言ってらしたけど、やっぱりサーシャはようかんじゃないでしょう。この小説でサーシャ=バラ(しかも真紅)とワイン(しかも血の味サンテミリオン)だという認識が強められましたわ。
そして、プロローグとエピローグに出てくる台詞!
「――革命を起こさないか、この国に」
似合いすぎてたまりませんo(≧▽≦)o。この台詞がこのシリーズの核なんでしょう。
サーシャに翻弄された亮司ですが、結局こうしてサーシャとともに歩んでいくのでしょうね。鎖から解き放たれた亮司でしたが、今度はサーシャという魅惑的な鎖につかまったような気がします。
なんにせよ、どんな革命を彼らが見せてくれるのか、今後が楽しみです。

この続編は「紫嵐<Violet Storm>」というタイトルで小説誌に現在連載中です。途中からでは読んでも分からないかもしれないけど、読みはじめよっと。待てないですもの(^。^)