久しぶりに五條瑛さんの小説を読みました。

『他人の心の痛みに敏感で、まじめで正直なのに世渡りベタ。
そんな男が生きる東京・亀戸天神あたり。
人生を棒に振りそうになりながら、それでも懸命に生きる姿をいったい誰が笑えるだろうかー。』

元大学准教授・鏑木は大学に勤めていた時に起こした、とある事件をきっかけに天藤会の若頭である白樺の元で探偵のような仕事をやっています。この鏑木を主人公として、5つの短編がつながりながら話がすすんでいきます。

・殺された男は誰にやられたのか。
・病死した男が生前に何者かにけがを負わされていたが、その事情は何か。
・いわくありの客の出迎え。
・縄張りに入り込んでいる関西の組織の目的は何か。
・死んだ男が持ち出したものは一体どこに消えたのか。


五條瑛作品の特徴は、一見すると社会の落伍者と思える人たちへの優しい目線と中年男を支えて活躍する青年(少年)の存在にあると思います。
この作品もその路線どおりでした。


調べ事のために鏑木がアルバイトで使っている青年、京二。これがまたいいオトコなんです。だらしない鏑木のために食べ物買ってもってきたり、雇われてるからという関係ではないんですよね。でもって仕事もよくできる。

この二人は互いに相手の境遇を思いやって、今のままではもったいないと思っている。だからこそ、仕事以外の部分でも相手のことを心配して、助けあっている。
その信頼関係がホントに素敵です。

どうやって知り合ったのかとかは全く書かれていないけど、そのあたりも読んでみたいなと思いました。

話は5つの短編から成り立っていますが、3つ目の『紅白名残雪』がよかったな。

他の積ん読になってる五條瑛作品も読まないと。