内田康夫の新刊です。

タイトルの『棄霊島』が指しているのは長崎の軍艦島です。この名前はどこかで聞いたことはあったのですが、どういう島なのかは全く知りませんでした。

現在は廃墟となった炭坑の島…うちの老人に聞いたらば、二人とも知っていました。戦後から昭和40年代の日本は、こういう炭坑から採掘される石炭が大切な燃料となってたわけですから当然といえば当然なんですが。

その島の炭坑が閉山となり、島民が島を捨てなければならなくなった頃に起きたであろう事件。
闇に葬られるはずだったろう事件が30年の時を経て、偶然の出会いから再び思い出されることになった。
そして起こった殺人事件。


浅見光彦はその殺人事件を追いながら、30年前の事件に迫っていきます。


この謎解きと平行して語られているのが、日本の近代史と拉致問題です。
以前からこの作者は戦後の日本のあり方に問題提起をしていますが、確かに私たちは何を勉強してきたのだろうと真剣に思います。
明治大正昭和の歴史の学習をおざなりにしてきたことを、カリキュラムの上でどうしても急がざるを得なかったからと言っていてよいのかということですね。

ただ、自分の感覚からいうと「歴史が好き」という理由が、「ロマンを駆り立てるから」であることははっきりしています。
「じゃあ現代史は?」と言われるとやはり生々しいのです。生々しいから深く知りたくない。
結局そういう思いも現代史を学ぶことに積極的になれなかった原因ではないかと思います。


しかし、ホントはそれではいけない。自国の歴史について、語れないでは情けないから。


さて、下巻を読もう。