田口・白鳥シリーズ第3弾。


『切り捨てられてゆく不良債権部門・救急医療を守る男の闘いと、医療の理想と現実をダイナミックに描き出した傑作エンターテインメント。』


東城大学医学部付属病院リスクマネージメント委員会委員長田口のもとに送られてきた内部告発文書。そこには、救急救命センター部長速水の収賄について書かれていた。

田口の大学時代の同期である速水は、ジェネラル・ルージュという異名をもつ救急救命医療のスペシャリストで、数々の逸話をもち、敵も味方も非常に多い人物である。
田口は、救急救命医療に全身全霊で取り組む速水が収賄などするはずがないと信じ、それを証明するために調査を始める。しかし、同じく同期の放射線科の島津は全身全霊で取り組むからこそ、速水の収賄はあり得るという。
はたして真実は?


田口・白鳥両人は相変わらずの存在感で、小説の要所要所を締めてくれますが、やっぱりこの小説はジェネラル速水に尽きます。

わがままで真っ直ぐな子どものような人と称される速水。しかし、その真っ直ぐさでもって、救急救命医療にあたるのだから、周りの人間の大変さは計り知れないわけです。
でも同時に、その真っ直ぐさにみんな惹きつけられてやまないから、救急救命センターのスタッフはジェネラルの近衛兵とも呼ばれています。


しかし一生懸命になればなるほど、いやというほど味わう医療の現実。
採算のとれない部署を切り捨て、病院の赤字を減らそうとする事務方。
速水の悲願ドクターヘリ導入など一顧だにされない。


たびたびニュースで、病院をたらい回しにされて患者が亡くなったということが報道されます。
救命医療は必要でないはずがないのに、その採算性の悪さや大変さから、病院として鬼子扱いされるというのは何かおかしいです。同じことは減り続けているという産科小児科にもいえるわけですが。

速水が起こした行動は、こういった医療の現実をなんとかしたいというものだったわけです。
一生懸命やっているものが、そして本当に必要としているものが報われない状態はやはりおかしい。
でも、医療にかかるお金は莫大なもので、そこには限界があるのも当然なのでしょう。

理想と現実…まさにそれを考えさせられるのが、この小説でした。

現実を理想に近づけるにはどうしたらいいのか。
事務方は事務方で理想のまま、お金を提供し続けることは不可能。でも、救急救命医療を必要としている人々は後を絶たない。

医療問題を多少なりとも解決するには、国の力しかないんだろうな…結局そんな風に思いました。


小説のクライマックスは大惨事に対応する救急救命センターの姿でした。君臨するジェネラル・ルージュは、やはり震えがくるほどかっこいい。
一瞬たりとも迷いや弱気を見せられないという究極の修羅場に一人立つ強さ。
地位や立場に関係なく、一人でも多くの人を助けたいという一心のみで動ける強さ。
そんなスーパーマンのようでありながらも、緊張感のあまり、唇の色も失せるほど顔面から血の気がひいてしまっている姿。
ドクターヘリがあれば!と空に向かって吼える姿。
そんな姿すべてが本当にかっこいいです。


映画とは微妙に違う場面もありますが、どちらも楽しめます。


確かにシリーズ最高傑作でした。